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大型トラック「日野プロフィア」 ダム建設現場自動運転実証実験 車両紹介
2021.04.30

輸送業界でも自動運転は何かと話題になっておりますが、今回は川上ダム建設現場(三重県伊賀市)にて行う、大型ダンプトラック自動運転実証実験(2020年11月実験開始)の車両をご紹介します。
ダム建設現場で大型ダンプトラックが自動運転
日野自動車株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長 下義生、以下 日野)と株式会社大林組(本社:東京都港区、代表取締役社長 蓮輪賢治、以下 大林組)は、建設業における現場作業員の高齢化や就労人口の減少による労働力不足、夜間や単調作業の生産性向上などの課題解決に向け、大型ダンプトラックによる自動運転(レベル4相当)※1の実証実験を、実際のダム建設現場である川上ダム(三重県伊賀市)で11月1日から1ヵ月半実施します。
日野は、建設業を含むお客様のビジネス課題の解決に向け、車両の自動化などのCASE※2を活用し、お客様起点のソリューションの実現をめざしています。
大林組は、省人化や生産性向上といった課題を解決すべく、建機の自動化や自動建機群を一元管理するプラットフォームの構築をめざし、建設現場のロボティクスコンストラクション※3を推進しています。
両社は、こうした社会課題の解決を加速するために、互いの知見を合わせ大型ダンプトラックの自動運転の実用化に向けて取り組んでいます。
今回の実証実験では、夜間の建設現場で稼働する現場内の搬送ダンプに、自動運転車を1台導入します。有人ダンプと自動運転車が混在した交通下における運行への影響や全車自動運転車だけでの運用を検討します。また、建設現場の自動化に向けて建機連携を念頭に置き、データを取得することを主な目的としています。
1.自動運転車両および利用システム 本実証で使用する自動運転車は、ベース車両である大型トラック「日野プロフィア」に自動運転技術を搭載し、約1.3kmを最高30km/hで走行します。車両の走行位置や経路は、GNSSデータ※4、カメラ、LiDAR※5で把握し、前走車がいる場合は全車速ACC※6で安全な車間距離を保ち、人および障害物を検知すると停止します。本実証では安全を最優先し、想定外の事象に備えてシステム監視者が乗車
2.走行ルート
日々採取先が変わるコンクリート骨材ヤードの位置に応じて設定します。狭いカーブや悪路、急勾配も含み、有人ダンプと混在した現実的な環境下での実証実験を実施します。
本実証の結果を踏まえ、今後は荷積み・運搬・荷降ろしまで一貫したオペレーションや、複数台の自動運転車を活用した現場における運用の新たな構築をめざし、開発や導入に向けた実証を検討していくとのことです。
現場での走行テストの様子
<各注釈への補足説明>
※1 自動運転(レベル4相当)
限定領域内の無人走行を想定した自動運転
※2 CASE
C=Connected(コネクティッド・接続性)、A=Autonomous(自動運転)、S=Shared(シェアード・共有)、E=Electric(電動化)の頭文字からとった造語。新しい領域で技術革新、自動車業界を取り巻く変革の動き(トレンド)のこと
※3 ロボティクスコンストラクション
BIM・CIMなどの技術を用いて現実空間とバーチャル空間を結び、建設プロセスを高度化させる概念で、施工においては遠隔化・自動化を活用し現場の完全無人化をめざす
※4 GNSS
Global Navigation Satellite System、GPSなどの全地球衛星測位システム
※5 LiDAR(ライダー)
Single Photon Avalanche Diode Light Detection And Ranging、周辺環境の立体的な様子を捉える技術や機器
※6 全車速ACC
車間距離制御装置(Adaptive Cruise Control)、前走車と自車の距離を自車の機器で計測・算出し、一定に保つ機能
SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献
日野では、自由に安全に効率的に、人と物が移動する「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現を目指し、お客様・社会への価値提供として①日野車による「交通死亡事故ゼロ」、②「CO₂排出量の大幅削減」、③「お客様ビジネスの発展支援」、④「人流・物流の更なる効率化」の4つに取り組んでいます。
本件は、③「お客様ビジネスの発展支援」について同じ志を持つパートナーとともに取り組むことにより、SDGsの以下の目標達成に貢献しています。
安心・安全で、環境にやさしく、人と物が、自由に最適に移動できる社会の実現 交通死亡事故ゼロ、CO₂排出量の大幅削減、人流物流のさらなる効率化によって、「豊かで住みよい持続可能な社会」実現を目指しています。
同じ志を持った仲間づくり
日野グループだけにとどまらず、同じ志を持つ企業とパートナーになり、社会課題解決に取り組むとのこと。
自動運手が秘める大きな可能性
先進安全技術や自動運転技術の目的は、「事故を減らし、誰もが快適な移動の自由を得ること」です。日本が抱えるの高齢化対策、事故の削減、そして移動手段の確保に対し、二つの技術はこの先も多いに役立ちます。 自動運転技術は日本の危機を救う、大きな可能性を秘めています。技術革新が進み、同時に社会的受容性が高まってくれば自然に導入されていくものだと思います。